人生でいちばん大事なこと:ボー・バウマン

ずーっと、欲しい欲しいと思って探していたのに見つからなくて、半ば諦めていたところで発見。あるアメリカの少年と母親の会話から始まった、世界中の人々への質問。これはその回答集になっています。芸能人も政治家も、宗教、スポーツ、俳優、先生、会社員…

訳者解説:山形浩生

これはちょっと変わった本。いつもの山形浩生だけど、翻訳ではないし、時事に絡めた教養話ではない(そういった面もあるけど)。これは彼が翻訳してきた本の要素をまとめてコメントをつけたような本。彼はいつも長い後書きとも補章とも言える様な文章を付け…

飛べ!「やはぶさ」小惑星探査機60億キロ奇跡の大冒険:松浦晋也

買ったけど、途中まで読んで止まっていた本。理由は最初の説明の部分が冗長で、飽きてしまったからなんですね。これは僕が本の対象読者じゃない上に、はやぶさに関する知識を一通り身につけていた為なんで、本の良し悪しとは関係ないのですが。 本自体はいつ…

のぼうの城:和田 竜

これがエンターテイメント!って感じの一冊。うだつの上がらぬ城主が実はキレモノ?とかコンプレックスまみれだけど腕は一級の名わき役とか、強敵だけど清々しい悪役とか、キャラクターの配置が絶妙です。 歴史ものなので、ある程度の基礎知識は必要だけど、…

失敗の本質 日本軍の組織論的研究:戸部良一, 寺本義也, 鎌田伸一, 杉之尾孝生, 村井友秀, 野中郁次郎

すみません、舐めてました。かなり有名な本なので喜び勇んで購入し、読み始めた最初の感想は、「他の本でさんざん取り上げられた戦闘を、こねくり回してるだけだなあ」でした。 本の構成は2部式で、1部は太平洋戦争中の有名な負け戦を簡単におさらいして、そ…

小惑星探査機「はやぶさ」の超技術 -プロジェクト立ち上げから帰還までの全記録

もう早いもので「はやぶさ」が還ってきてから1年が経つんですね。映画も公開されたし、少しでも日本人が今回の感動の向こう側にある、科学の大切さや面白さ、見地を広げることへの理解が進めばいいのですが。 この本は2部構成になっていて、前半が川口マネの…

狼と香辛料(5):支倉凍砂

5巻は今後の大きな流れの端緒になる話ですね。準レギュラーでありながら(主に女性からの)圧倒的な支持を受けそうなエーブさん(謎の女商人)が登場します。 またホロとロレンスの関係も、気持を探りあうスタンスから一歩進んで、信頼し合った上で今後を考える…

狼と香辛料(4):支倉凍砂

祭りの夜を超えて、絆を深めたロレンスとホロは更なる情報を求めて北へ向かいます。立ち寄ったのは典型的な田舎の村。その村の近くには、異教徒の物語に詳しい司教がいるとのことでした。しかし、村の教会で聞いても知らぬ存ぜぬの一点張り。その当たりの強…

狼と香辛料(3):支倉凍砂

リュビンハイゲンを出発した二人は地方都市クルメスンへ向かう途中、魚の専門業者アマーティと出会います。アマーティはまだ若いながら、この地方では高価な魚を大量に商うあたり、一角の人物のようでした。そしてそのアマーティは、見た目麗しいホロから視…

狼と香辛料(2):支倉凍砂

面白すぎて(そしてホロが可愛すぎて)ついつい続きを素早く買ってしまいそうになりつつも、なんだか読み切ってしまうのが勿体無くて、ちょっと嬉しぃ葛藤を繰り広げている(僕が)狼と香辛料の2巻です。 今回はホロのナイスアシストをぶち壊しにするロレンスの…

昭和良識派の研究:保坂正康

たまには真面目な光文社NF文庫を思って(そこから離れないところがポイント、笑)、菊池寛賞受賞ですって。よく知らないけど。 内容は戦前戦後の出来事を「良識」というキーワードを通じて、人の在り方を問い掛けています。人物だと高松宮や瀬島龍三などが取り…

狼と香辛料(1):支倉凍砂

たまには光文社NF文庫ばかりじゃなくて、普通のライトノベルも読みたいなぁ、なんてブギーポップを読みながら思って、オンナスキー君に教えて貰ってご購入。 いやぁ。面白かったです。世界は普通のファンタジーなのですが、主人公が商人なので、剣と魔法は全…

沈黙ピラミッド:上野遠浩平

ブギーポップ・シリーズの最新刊(とは言え、発刊はだいぶ前ですが…)です。最近はマンネリも著しいブギーポップですが、それでも地力が違うせいかやっぱり面白いです。今回は死にたがりの人造少女とその友人(?)の話です。 今回の主題は二つあったように…

秘めたる空戦―三式戦「飛燕」の死闘:松本 良男, 幾瀬 勝彬

太平洋戦争中、南洋の空で三式戦闘機「飛燕」を駆って、幾度の戦いを潜り抜けてきた筆者による空戦記です。この本は「戦闘機「飛燕」技術開発の戦い」か何かの中で引用されていて見つけたのですが(ちょっとうろ覚え)、その筋方面では割と有名な本だったよ…

弱小国の戦い:飯山幸伸

第一次世界大戦〜第二次世界大戦のヨーロッパの歴史を通して、ベルギーや東欧諸国がどうやって激動の時代を生き抜いて来たか?を書いた本です。とりあえず目についたのは、素材は面白い割に文章の書き方がちょっとおかしいと言うか、推敲が明らかに足りてな…

うずまき猫のみつけかた:村上春樹

うずまき鳥が好きだったので、名前に釣られ初めて買った村上春樹のエッセイ本(この感想文は読んだ順に紹介している訳では無いのです)。外国暮らしとマラソンを軸に村上春樹の本音に近い部分を読める本だと思います。 この本を読んでいると欧米に置ける本当…

瀬島龍三−参謀の昭和史:保坂正康

戦中は陸軍参謀として、戦後は商社の防衛商戦のリーダーそして政府の助言者として日本と言う国に少なからず影響を与えた、瀬島龍三と言う男を(公平な視点で)描いた本です。とは言え、事実を明らかにして行く中で、やや批判的な文章になっています。と言う…

パン屋再襲撃:村上春樹

パン屋再襲撃を始めとした短編集です。確か国語の教科書だか何かでパン屋再襲撃を読んだ事があって、懐かしい気持ちで購入。表題作以外にも例の双子の話だとか、ねじまき鳥の元ネタ?みたいな話があって、好きな人はにやりと出来る感じです。 この本の中で一…

マルドゥック・ヴェロシティ:冲方丁

マルドゥック・スクランブルに続く、ハードなSFです。今、日本人の手によるSFとしては最高なんじゃないの?見たいな気もしますが、SFの重要な「センス・オブ・ワンダー」はちょっと弱いかな(取り立てて目新しいギミックも無く、ハードボイルドなジョジョと…

虞美人草:夏目漱石

さすが100年前の本だけ有って、読みにくい事甚だしいです。登場人物もみんな似たようで見分けがつきにくいし、そもそも中に出てくる言葉も良く理解出来なかったり(巻末の辞典が無かったら読めなかったと思う)。でもそれらを乗り越えて読むと、これは青春群…

昭和戦後史の死角:保坂正康

保坂正康による現在と昭和史を結んだエッセイと言って良いでしょうか。エッセイと言うには重みと実感がありますが、それほど深くはない、幾つかの読み物をまとめた本です。特に心に残ったのは「特攻作戦に反対した海軍軍人」と言う項です。次第に敗戦の色が…

天皇が十九人いた:保坂正康

戦後の混乱期に起きた、今ではちょっと考えられない様な事件(自称天皇の出現)や、戦争に強い因縁を感じさせる何人かの人間を取材し、戦争と日本人を考えてみよう、と言った本です。本は幾つかの話が独立して収められていますので、実際には軽く読める(だ…

草の海:椎名誠

[rakuten:book:10522807:image] 椎名誠がモンゴル奥地を旅した記録です。本の背表紙には「白い馬」の原作だと書いてあるんですが、ちょっと良く解りません。本には写真が沢山収められていて、美しい空や躍動感に満ちた人や馬の活動を見る事が出来ます。モン…

栗林忠道:柘植久慶

最近、映画にもなりましたし(硫黄島からの手紙)、沖縄戦の話は知ってても硫黄島の話は良く知らなかったので、読んでみました。 この本自体、事実に沿った小説の体裁を取っていますし、一部将校への反発心が露骨に現れているので、史実を知りたいと言う観点…

遠い太鼓:村上春樹

村上春樹がヨーロッパで暮らしていた期間の日記をまとめた本です。エッセイの原型の様な、小説を書く際に切り落とした感情が散らばっている様な、悪く言えば目標の無い、良く言えばそれだけ彼の実感に誓い文章が散らばっています。 旅行の記録と違って、これ…

日曜日の夕刊:重松清

日常になじむ、家族の話を集めた本です。重松清の本はこう言った普通の人々の心情をドロドロしすぎない程度に描き出すのがとても上手いと思います。誰もが少年時代や、大人になってから感じる普遍的な感情を、ほんの少しだけ鮮やかに色付けして、再体験させ…

シドニー!:村上春樹

エッセイの様な見聞録の様な、シドニーオリンピックを村上春樹が見て回った滞在記です。オリンピックは国家的祭典なので、細かい部分で言えば鼻につく所も有るけど、それ別にすれば、オ−ストラリア的大らかさのある競技や人々は十分に面白いと思えました。 …

地球の裏のマヨネーズ:椎名誠

新宿赤マントシリーズです。と言えば通じる人にはこれで話は終わってしまうのですけど、椎名誠が「地球の裏」と言えばやっぱりパタゴニアのプンタアレナスな訳で、久しぶりにそこを訪れた話が表題作になっています。この10年でプンタアレナスは大分変わっ…

ダンス・ダンス・ダンス(上)(下):村上春樹

羊をめぐる冒険の続きの話です。美しい耳をもった彼女を捜す為、僕は再び旅にでます。ですが相変わらず話は観念的で、時に都合良くて、時に理不尽で、まるで人生のようですね。沢山の殺人に出会って、沢山の場所を巡って、最終的に安心できる手近な場所(物…

日出る国の工場:村上春樹

僕は村上春樹の小説よりはエッセイの方が好きだし、工場見学も好きなのでこの本はたまりません。しかも工場が人体模型製造に工業的農場にカツラです。うーん、唸らざるを得ない。 とは言え、手放しで褒められる事ばかりと言う訳でもなく、説明に文章の殆どが…