のぼうの城:和田 竜

のぼうの城
これがエンターテイメント!って感じの一冊。うだつの上がらぬ城主が実はキレモノ?とかコンプレックスまみれだけど腕は一級の名わき役とか、強敵だけど清々しい悪役とか、キャラクターの配置が絶妙です。
歴史ものなので、ある程度の基礎知識は必要だけど、書き手が意識しているのか、特段詳しくなくてもすんなり入っていけますね。
昔がこんなに気持ちの良い戦ばかりだったとは思いませんが、昔の打算的過ぎない、名誉と言うかロマンというか生身の人間が見える戦は、それだけで心を動かすものだなあと。

惜しむらくは、お姫様をもっと前面に出して欲しかったな、甲斐姫は伝説も多い人だし、劇中でもかなり多彩で面白い扱いだったし。
あと、史実にあわせようとして一部違和感を感じる部分もあったので、それを味とするか寧ろエンターテイメント!と言うことで思いっきり都合よく解釈しても良かったんじゃないかな。や、これがその解釈の結果なのかもしれませんが。

【お勧め】★★★☆☆(3.5点、普通の人にならだれでも!)