謎の独裁者・金正日:佐々淳行

テポドン・諜報・テロ・拉致 謎の独裁者・金正日 (文春文庫)これは題名にこそ金正日と入ってますが、実際には日本の対スパイ部門(警視庁の外事課)を中心とした話です。時間的に言えば「美人女優と前科七犯」の次ぐらいでしょうか。で、ここでは北朝鮮の拉致をメインに、東側諸国のスパイ組織と日本の外事課のなんとも静かな攻防を書いています。僕は恥ずかしながらこの本で知ったのですが、普通の国では当然あるはずの「スパイ防止法」が日本にはないそうです。なので、日本の役人がスパイに機密資料を売っても、外事課が諸外国のスパイ(例えば非合法に入国した北朝鮮の諜報部員)を捕まえたとしても、日本の法律では厳しく取り締まる事が出来ないそうです。せいぜい窃盗と入国管理法違反程度、とか。それゆえ日本はスパイの天国であった、と。エリア88で「日本はスパイ天国さ。まさに東洋のイスタンブールだ」見たいな事(詳細失念)を言っていたのは本当だったのですね。まぁ冷戦構造が無くなった今も同じかどうかはしらないけど。
ちょっと佐々氏の他の本と比べると散漫な印象を受けるけど、興味深かったです。
【お薦め】★★★☆☆(大体読みきってしまった)