2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧

シドニー!:村上春樹

エッセイの様な見聞録の様な、シドニーオリンピックを村上春樹が見て回った滞在記です。オリンピックは国家的祭典なので、細かい部分で言えば鼻につく所も有るけど、それ別にすれば、オ−ストラリア的大らかさのある競技や人々は十分に面白いと思えました。 …

地球の裏のマヨネーズ:椎名誠

新宿赤マントシリーズです。と言えば通じる人にはこれで話は終わってしまうのですけど、椎名誠が「地球の裏」と言えばやっぱりパタゴニアのプンタアレナスな訳で、久しぶりにそこを訪れた話が表題作になっています。この10年でプンタアレナスは大分変わっ…

ダンス・ダンス・ダンス(上)(下):村上春樹

羊をめぐる冒険の続きの話です。美しい耳をもった彼女を捜す為、僕は再び旅にでます。ですが相変わらず話は観念的で、時に都合良くて、時に理不尽で、まるで人生のようですね。沢山の殺人に出会って、沢山の場所を巡って、最終的に安心できる手近な場所(物…

日出る国の工場:村上春樹

僕は村上春樹の小説よりはエッセイの方が好きだし、工場見学も好きなのでこの本はたまりません。しかも工場が人体模型製造に工業的農場にカツラです。うーん、唸らざるを得ない。 とは言え、手放しで褒められる事ばかりと言う訳でもなく、説明に文章の殆どが…

羊をめぐる冒険(上)(下):村上春樹

これはいったい何の話なのだ?と言うのは村上春樹を読むといつも思いますけど、つまり鼠と自分は表裏一体の存在で、そうである自分と、そうでありたかった自分=鼠を、自分が心の中に見付け、清算すると言う青年の旅立ちの話なんでしょうか?ただの小説とし…

秘密のミャンマー:椎名誠

ビルマの竪琴を読んだ後に手にした椎名誠の本です。あれから半世紀以上の時代がたっても、ミャンマーはミャンマーであり続けると言うか、敬遠な仏教徒の国は静かに日々を過ごしているのですね(もちろん、軍事政権のせいで色々とキナ臭い所はあるのでしょう…

マルタの碑:秋月達郎

時は第一次世界大戦。地中海で連合軍輸送船を護衛する艦隊。それは日英同盟に従い日本から派遣された、日本海軍の駆逐艦や巡洋艦だったのです。歴史の教科書では触れられない遠き地での活躍を、この本では若き日の山口多聞を通して描かれています。この本は…

地下鉄に乗って:浅田次郎

浅田次郎が読みたくなって読んでみたんですが、これはかなり初期の本だったのですね。んー。ファンタジックな仕掛けに軸に、人物の感情を丁寧に描いて行く書き方はさすがだなぁ、と思うのです。しかしファンタジーとしての仕組みがちょっと都合良く使われて…

約束された場所で underground2:村上春樹

地下鉄サリン被害者のインタビュー集「アンダーグラウンド」の続編です。今回は元オウム信者の方に教団に携わった人間として、インタビューしています。今回は地下鉄サリン事件に関する記述はあまり無く(元々、事件に関わった人間が教団のごく一部に限られ…

アンダーグラウンド:村上春樹

僕は村上春樹の活動の全てを知っている訳ではないのですが、割と珍しい地下鉄サリン被害者のインタビュー集です。それも扇情的なマスコミ視点を極力排し、淡々と進む日常から事件に巻き込まれた(と言っても当時は本人にその意識は無い事が多かった)人々の…

本当の戦争の話をしよう:ティム・オブライエン(訳:村上春樹)

これは戦争小説の形を借りた青春小説、またはシニカルな近代民話です。この本の中で自分が感じた事を大げさに表現する兵士の話があり、これは非常に共感したと言うか、勿論嘘のように事実を歪める事は褒められた事ではないです。しかし、人間が言葉を使用し…

アメンボ号の冒険:椎名誠

僕も少年時代は親戚の家の周りに残った田んぼや小川で好き放題遊び回っていましたから、こう言う少年らしいわくわく感には素直に感化されてしまいます。度々椎名誠の筆で語られてきた幸せな少年時代がまるで目の前に蘇ったように生き生きと描かれています。…

辺境・近境 写真編:松村映三plus村上春樹

村上春樹と一緒に歩いた道のりを写真にまとめた本です。勿論、写真家さんもそれなりの人なので写真自体からいろんな気持ちや情景が伝わってきます。この写真家さんは悲しみを淡々と薄めたような雰囲気を移すのが得意なんでしょうか。 メキシコを旅した時の写…

裁判長!ここは懲役4年でどうすか:北尾トロ

流行の本っぽいですけど、面白そうだったので購入。いつもそうですけど、一般的ではないコミュニティの中に入って行く話と言うのは、それがマイノリティである程面白く感じますよね。そんな訳で裁判傍聴日記です。基本的なスタンスは好奇心丸出しな訳で、読…

海ちゃん、おはよう:椎名誠

解説の人も書いていたけど、僕も椎名誠の子供は岳くんだけだと思っていました。岳物語は文学的にも評価が高いみたいだし、勿論個人的にも好きなんですけど、こっちの本も中々捨てがたいです。子供を授かり、人の親として周りからも自らの中からも目覚めて行…

僕は八路軍の少年兵だった:山口盈文

太平洋戦争が終わった時、満蒙開拓青少年義勇兵だった作者は、死にものぐるいで祖国を目指すが、思わぬ事から八路軍の兵士となっていた。終戦後の満州の話と言えば、混乱の極みに有った祖国引き揚げか、ソ連の強制収容所か、と言った所でしたけど、ちょっと…