片想い:東野圭吾

片想い (文春文庫)性差を縦軸に、大学時代の友情を横軸に進んで行くミステリです。主人公を取り巻く環境が、なんだか垢抜けない、と言うか昼ドラみたいだったので、最初はちょっと「これ、おもしろいの?」と思ったんです。だけど物語が進むにつれて、当り前の事実が実は間違っていた、と言うような驚きがバンバン出てきて、気がつけばのめり込んでいる訳です。しかも物語が破綻したり白ける事も無く、最後までキッチリ勝負を仕掛けていくとゆー。さすが東野圭吾
僕は性別については、まぁ常識的な範囲でゲイやら性同一性障害とかにも冷やかな理解を持っているつもりでした。だけどこれを読んで、改めてそういった事に対して考える心構えを持たないとなぁ、と思いました。そう思わされる位、テーマを正面から捉えた小説だし、だけどそれは小説の面白さをスポイルする事では無く「それがなくては成り立たない」と言う構成になっていて、「やっぱすげぇや」と一人心の中で拍手喝采を送った次第。
【お薦め】★★★★☆(友人にも勧めてみよう)