昭和良識派の研究:保坂正康

昭和良識派の研究―この時代から何を語り継ぐべきか (光人社NF文庫)
たまには真面目な光文社NF文庫を思って(そこから離れないところがポイント、笑)、菊池寛賞受賞ですって。よく知らないけど。
内容は戦前戦後の出来事を「良識」というキーワードを通じて、人の在り方を問い掛けています。人物だと高松宮瀬島龍三などが取り上げれられており、保坂正康の他の著書の内容を別の視点で取り合げた形と言っても良いかもしれません。
歴史を語る時、つい陥ってしまいがちな落とし穴として「後から理屈をつける」と言うのがあるかと思いますが、事後であれば何とだって言える訳です。そういった形で歴史を語るのではなく、その時代、空気の中で如何に人は生きたか、その時、彼(または彼女)は何を考え、どの様な観点で生き方を選んできたのか、これこそが歴史を知る上で忘れてはならない視点だと思うのです。
ただ年表を覚える、言い訳をする為に人は歴史を重ねてきたわけではない、と言うのは簡単ですが、彼らの判断を自分の生き方にまで噛み砕いて物にするのはとても難しいはずです。
僕はまだこの本を読み始めた、と言っても良い段階なのかも知れません。名著は常にそうであると信じますが、何回も、時間を、立場を、変えて読んでこそ、本当の価値を理解できるのです。
【お勧め】★★★★☆(入門書としてもおk)