わが上司 後藤田正晴 決断するペシミスト:佐々淳行

決断するペシミスト わが上司 後藤田正晴 (文春文庫)佐々淳行氏の警察時代の上司である後藤田正晴氏との関係を縦軸に、「上司とは」「政治とは」について記した私的で公的な自叙伝。この人の小説群(僕はこれを私小説、と言うスタンスで読んでいます)は、自分が少しだけ知っている歴史上の大事件を、現場で組織をドライブしていた人からの目線で語ってくれるので、興味深くて好きです。それに、自分がやっていることが世間的に正しいとか、問題が起きないとか、そーゆー視点では無く「自分が何をすべきか、自分は何を信じるべきか」と言う視点で物事にあたっていて、氏が固い信念を持っている所に僕はすごく憧れると言うか、頭が下がる思いです。タダで平和を享受していてすみません。みたいな。外から見たとても窮屈そうな官吏の世界はやっぱり氏にとっては狭すぎるらしく、ぶつかる時も多いのですが、それを物ともせずに自らが為すべき事へと突き進んでいる様は一種の爽快感も有り、読んでいて「素晴らしく面白い」と思うのです。
また、上司「後藤田正晴氏」との関係をメインに据えているだけあって、端々で組織論とゆーかあるべき上司の姿について語られていて、今後人の上に立って指示する人は読んでおいて良いのかも知れないと思いました。僕は暫く関係ないですがね。
【お薦め】★★★★☆(題名で損をしているような気がする)