六つのひきだし(「森繁の重役読本」より):向田邦子

「森繁の重役読本」より 六つのひきだし (文春文庫)僕が向田邦子に引き込まれる事になったキッカケの本。実は何度もこの本は読んでまして、確か中学校時代に隣町の図書館で最初に読んだように覚えています。本屋で見かけて久しぶりに読みたくなって、思わず購入。これは森繁久彌さんのラジオドラマの台本なのですが、短い中にヒトの面白みや悲しみとか、なかなか表に出ては来ない微細な共感がたっぷり詰まっていて、読んでいて楽しく、かつシミジミと「昭和の空気」を味わえます。僕が好きな話は、代理人生的な共感が男ならきっとわかるであろうと思う「駄目な奴」と、女性の怖さがすごく伝わってきて、でもやっぱり可笑しな「逆らう女」です。まぁ全部好きなんですけどね。
【お勧め】★★★★★(誰が読んでも面白いハズ)