父の詫び状:向田邦子

父の詫び状 (文春文庫)向田邦子さんの文章は、日常を鮮やかに描くのが素晴らしいな、と思いました。この本は、自分の人生の様々な場面を通じて現れる、無骨で不器用な父を中心に昭和初期の家族像を描いています。子供なら誰もが感じる父の疎ましさや滑稽さを決して下品にならない可笑しさに変えて、僕自身に同じ経験があるわけでは無いのに、懐かしさを感じます。また、写実的な表現や今にも動き出しそうな人物像にも、さすが脚本家だなぁと思いました。
【お勧め】★★★★☆(教科書で読んだ人も多いですよね)