ご冗談でしょう、ファインマンさん(上)(下):R.P.ファインマン(訳:大貫昌子)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)ずーっと読みたかった一冊(上下巻)。世間一般で物理だ工学だとかの「理系」の連中は、イマイチ暗いとか話ベタとか思われがちですが、だからと言って感動や喜びに疎い訳ではないのです。文系は興味の対象が芸術だったり文学だったり、人間に関わる事象が殆どですけど、理系は人をも含む世界の向こう側にある、「真理」こそが興味の対象なのだと思います。余りレッテル張りのような真似は好きじゃないですけど。例えば、シンプルな方程式でどんなボールの動きでも予測できる。水の状態が移り行くのを予測できる。これらはつまり、目に見える向こう側の真理を手に入れているのと同じだと思うのです。自分の知識によって世界の目に見えるだけじゃない、本当の動きが手に取る様に判る!これを感動と言わずして何と言ったらいいのか!学術の本当の素晴らしさと言うのは、こう言う事を言うのだよ、とファインマンさんに言われたような気がします。
この本は好奇心と信念の塊のようなノーベル賞物理学者ファインマンさんの自伝的エッセイ集です。興味の矛先は物理だけに留まらず、ドラムに絵画に瞑想にと人生を楽しむ事にかけても第一級なこの先生は、ちょっとした思い出話だって最高に面白いです。岩波現代文庫堅苦しい表紙ですけど是非、読んで見て欲しいと思います。
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