機長の心理学:デヴィッド・ビーティ

機長の心理学―葬り去られてきた墜落の真実 (講談社+α文庫)飛行機が墜落する理由は数え切れない程ありますが、「ヒューマンファクター(人的要因)」に関して原因を追及した本です。作者は第二次世界大戦の英軍パイロットであり、戦後は英国エアラインのパイロットとして活躍した人です。作者は戦争中、友軍機が通常ではありえないような理由(飛行中に左右を取り違え、基地にたどり着かない、等)で死んで行くのを目の当たりにします。これは何が原因なのか?そしてどうすれば防げるのか?本格化する旅客機時代と歩調を合わせるように問題が明らかになってきます。墜落に至る理由は非常にありふれたものでした。コックピット内の社内順列によるパワーバランスの崩れ、スリップと呼ばれる本人が気づけない認識のずれ、そう言った誰もが経験のあるちょっとした事が墜落に結びついていたのです。
この本はシリアスに航空機の安全について語っていて、興味の無い人には取っ付きの悪い本ですが、殆ど全ての人に勧められる本です。自分も心当たりのある、毎日繰り返しているちょっとした失敗が、時と場所によっては大惨事になると思うと、普段の作業も感じ方が変わってくるのです。
【お勧め】★★★★☆