瀬島龍三−参謀の昭和史:保坂正康

参謀の昭和史 瀬島龍三 (文春文庫)
戦中は陸軍参謀として、戦後は商社の防衛商戦のリーダーそして政府の助言者として日本と言う国に少なからず影響を与えた、瀬島龍三と言う男を(公平な視点で)描いた本です。とは言え、事実を明らかにして行く中で、やや批判的な文章になっています。と言うのも、終戦時のシベリア抑留者は瀬島龍三が行った対ソ交渉によって生まれたのでは?と言われていたり、その他の事に付いても自らに都合の悪い事は隠し通す瀬島龍三の「姿勢」が作者に見えてしまうからです。
ただ、彼が単純に私利私欲に走った人間では無く、自らの理想や理念に沿って動き、その中で言えば間違いなく優秀な人間では有るのです。
この本は日本的なエリート思考が陥りガチな独善的見方と言ったものを、教材(瀬島龍三)を通して教えてくれます。
【お勧め】★★☆☆☆(面白いけど勧めたりは出来ないかね)