狼と香辛料(4):支倉凍砂

狼と香辛料 (4) (電撃文庫)
祭りの夜を超えて、絆を深めたロレンスとホロは更なる情報を求めて北へ向かいます。立ち寄ったのは典型的な田舎の村。その村の近くには、異教徒の物語に詳しい司教がいるとのことでした。しかし、村の教会で聞いても知らぬ存ぜぬの一点張り。その当たりの強さにむしろ疑いを深めた二人は…。といった感じの話です。

今回はちょっと中休み的な話に感じました。それは問題が二人に降り掛かってはいるけれども、本質的には村の問題であり、損得勘定と人の良さからこの問題に関わっていからだと思います。いつものようなギリギリした緊張感ではなくて、若干スマートな言いかえれば利己的な立場が出ています。それが悪いという訳ではないのですけど。

それと、いつにもまして食事のシーンが多いし、旨そうですね。昔、宮崎駿が映画を作る時は食事のシーンを必ず入れるだか、重要視するだかなんて言ってましたけど、この作者も同じなんでしょうか。自分が食べた事も無いものを良く美味しく書けるなぁ、と。

今回のホロは完全に裏方的な動きをするのですが、自分の出自をゆっくりと受け入れていくホロと、それを優しく受け入れるロレンスが、何だか長年連れ添った二人のように安定していて、ちょっと悔しいような嬉しいような(笑)

【お勧め】★★☆☆☆(腹の減る小説)