目黒警察署物語 佐々警部補パトロール日記:佐々淳行

佐々淳行氏が警察官となり初めて赴任したのは、目黒警察署でした。当時の市民の暮らしぶりや、古き日の警察機構の空気を丁寧に記述しながら、新任間もない佐々氏が、目黒署の皆に認められよう、と奮闘する様がややコミカルに描かれていて、今までの氏の著作とはちょっと雰囲気が違って軽く読めます。佐々氏はメモ魔であった事もあり、当時の物価や警察官の初任給などもキッチリと書かれていて、当時の雰囲気が良く伝わって来ます。

かどっこのトリス・バーに寄ってみる。トリスのハイボール三十円、サントリーの白だと五十円だ。当時サントリーのオールドが千六百円、角が千二百五十円。月収に比較して考えると、ベラボーに高価な贅沢品だった。

僕は警察自体にはあまり興味が無いこともあって、大変興味深く読めたのですが、日常の警察官が扱っている事件というのは、本当に地味でめげそうになるものばかりなのですね。酔っ払いだの喧嘩だの、置き引きに自転車窃盗。今の警察がどうなのかは判りませんが、少なくともこの頃より良くなっていることも無いでしょう。みんな頑張ってるんだなぁ(平凡な結論)。
【お薦め】★★★☆☆(佐々淳行氏入門としてどうでしょう?)