女の人差し指:向田邦子

向田邦子さんが最後に書かれた作品がこの本に収録されています。「クラシック」と題されたその作品は、旅行先で聞いたクラシック音楽、父親との思い出、現在の身近な風景、それらの話題を流れるように触れている、非常に向田邦子さんらしいエッセイでした。やっぱり失ったものは大きいのだな、と改めて思います。
この本の中程に「ままや繁盛記」がありますが、これは時折彼女が触れていた自身の小料理屋の話でした。何につけても凝り性な気風のある向田邦子さんが、自分が納得するように作ったお店の話です。「ままや繁盛記」は、まるで自分がお店のプロデュースに関わっているみたいな気持ちになれる、面白い文章でした。お勧めです。
【お勧め】★★☆☆☆