白夜行:東野圭吾

白夜行 (集英社文庫)二人の男女と、それをめぐる救い様の無い、酷く暗くて悲しい因果の話。これは謎はありますけど、ミステリーなんでしょうか?それとも二人の男女の憂鬱なラブストーリー?亮司は作中で日の当たる場所を歩きたいと語りました。だけど彼の願いは叶えられませんでした。恐らく雪穂もそうだったと思います。それは彼と彼女の間にあった愛に良く似た純粋な想いのせいなのです。純粋と言うのが何も知らない事を指すのなら、彼と彼女の間にあった感覚は純粋な愛だと思います。だけど彼らが行ってきた来た行為そのものは、彼ら憎んだ、もしくは心の底から受け入れたソレ、なのです。
一つだけ気になったのは、飽くまでも自動的な存在として自分を置いた雪穂と、それを当然として雪穂を暗い側面から支え続けた亮司の、自分の生き方に対する逡巡です。明らかに亮司は作中でこの生き方に対して疑問を持っていたはずです。上記の言葉も、典子の扱いも。結局、深遠に落ちていたのは雪穂だけだったのかも知れません。それは男女に対する作者からの示唆、なのでしょうか。
【お勧め】★★★☆☆