テネイシャスD 運命のピックをさがせ!

テネイシャスD-運命のピックをさがせ!-
くぼさんから日本公開の話を聞いて一週間、行くか行かぬか迷ってるうちに公開が終わりそうな気がしたので、意を決していってきました。一人で(ここ重要)。
おおむね僕は映画を劇場で観るのが苦手でして、沢山の人と数時間暗い所に押し込まれるのが苦手なんです。でも行ってきました。
だって、JBとカイルが映画でテネイシャスDですよ?ハイフィディリティもスクール・オブ・ロックもナチョも好きな自分としては、どうしても期待してしまうじゃないですか、と。
んで、感想ですが。最高。最高に最低な内容で、想像を軽々と超えるくだらなさ(褒め言葉)が素晴らしかったです。ここ半年で一番笑った。
劇場も深夜上映だったこともあって、お客さんは少なかったんですが、そこはそれ。ポニョやらスカイクロラやってる横で、こんな映画(褒め言葉)を選ぶくらいの人間ですから、分かってらっしゃる感じで、みんなしてゲラゲラ笑ってました。
ただ、内容は本当に下らないので、

  • 性的描写が苦手
  • 犯罪行為が苦手
  • ハッシシ吸うとかあり得ない
  • 讃美歌以外認めません

と言う人には薦めません。とりあえず、付き合いたての彼女を連れていくのだけはやめましょう。ものすごい引かれるかも知れない。
ただ真面目に言えば、ストーリーの骨格は成長物語のポイントをちゃんと押さえてるので、その辺は安心して良いです。
(あと画像はサウンドトラックです)
【お勧め】★★★★☆(Dが好きなら間違いなく面白い)

狼と香辛料(4):支倉凍砂

狼と香辛料 (4) (電撃文庫)
祭りの夜を超えて、絆を深めたロレンスとホロは更なる情報を求めて北へ向かいます。立ち寄ったのは典型的な田舎の村。その村の近くには、異教徒の物語に詳しい司教がいるとのことでした。しかし、村の教会で聞いても知らぬ存ぜぬの一点張り。その当たりの強さにむしろ疑いを深めた二人は…。といった感じの話です。

今回はちょっと中休み的な話に感じました。それは問題が二人に降り掛かってはいるけれども、本質的には村の問題であり、損得勘定と人の良さからこの問題に関わっていからだと思います。いつものようなギリギリした緊張感ではなくて、若干スマートな言いかえれば利己的な立場が出ています。それが悪いという訳ではないのですけど。

それと、いつにもまして食事のシーンが多いし、旨そうですね。昔、宮崎駿が映画を作る時は食事のシーンを必ず入れるだか、重要視するだかなんて言ってましたけど、この作者も同じなんでしょうか。自分が食べた事も無いものを良く美味しく書けるなぁ、と。

今回のホロは完全に裏方的な動きをするのですが、自分の出自をゆっくりと受け入れていくホロと、それを優しく受け入れるロレンスが、何だか長年連れ添った二人のように安定していて、ちょっと悔しいような嬉しいような(笑)

【お勧め】★★☆☆☆(腹の減る小説)

秋葉原の事件を思って

月曜日の夜、献花に行ってきました。雨だと言うのに山のような花が置いてあり、事件のリアルさを感じました。またマスコミの人が笑顔で彼らの同僚と会話を交わすのを見て、彼らにとって、これは特別じゃなくて日々続く営みの一部なのだなぁ、との思いを持ちました(不思議と腹は立たなかったです)。
なぜ花を持って行ったかと言うと、悲しかったからです。僕は秋葉原が好きなので、そこで事件が起きるのは嫌で、起きてしまったのは悲しいです。秋葉原は永遠の文化祭のような街であって欲しかった。

ヤフーのコメント欄を見ると罵詈雑言やら嘆きやらが溢れていて悲しくなります。みんなこの事件の原因を欲しがっている。犯人が悪い、親が悪い、経済政策が悪い、派遣会社が悪い…。だけどそれら原因を求める言葉には続きがあると思うのです。

○○○○が悪いに違いない。(だから自分は悪くない)

みんな親に、経済に、派遣会社に期待しすぎです。彼らだって自分と同じ人間です。いくらだって間違いをする。自分がどれ程のものだと言うのか、自分は間違いをしても他人にはをれを許さないのか。原因(らしきもの)をヒステリックに攻め立てるのは脊髄反射以外の何物でもないです。エモーショナルな部分が悪いとは言いません。でも、それだけしか見えない近視眼的な反応は、本当の正解から遠ざかると思うのです。

今はその原因解明と対策立案ができるだけ有効なものとなるよう、また結論が妥当なものとなるか見極められるよう、自分を抑えてでも成り行きを見守るべきと思います。

僕は、被害に遭われた方とその家族ができるだけ辛い思いをしないで、この事件を過去のものとして受け入れられる日が来ることを願います。また自分にできる事をゆっくり考えていきたいと思います。

(6/19 追記)
犯人の供述を読むと、今回の犯行は復讐の側面が強いのだなぁ、と思いました。誰にも受け入れてもらえない、社会から拒絶されていると感じたのでしょうか。ただ、それでも彼には友人と思える人間はいたし、決して一人ではなかったはずです。
彼に足りなかったのは、自分が受け入れられていると感じられる感受性かも知れないし、一人で生きていけると思える強さやふてぶてしさかも知れません(勿論、犯罪を犯せない常識的な感覚も、ですが)。

彼は宮崎ほどの時間も掛からず、死刑執行となるでしょう。ただ、彼が死んだところでそれは雑草を引き抜いたような物だと思います。彼が犯罪を起こした理由を見つけられない限り、こう言った犯罪は続くでしょう。そして理由を見つけたとしても、それは今の日本には受け入れられないような気がします。つまり、宮崎のような真性キチガイではない、ある程度の社会性をもった大人が追い詰められて大量殺人に至る、そう言う犯罪は続くのだと。

狼と香辛料(3):支倉凍砂

狼と香辛料 (3) (電撃文庫)
リュビンハイゲンを出発した二人は地方都市クルメスンへ向かう途中、魚の専門業者アマーティと出会います。アマーティはまだ若いながら、この地方では高価な魚を大量に商うあたり、一角の人物のようでした。そしてそのアマーティは、見た目麗しいホロから視線を離せないようで…。

僕はシリーズの中で3巻が一番好きかも知れません。今回はホロとロレンスの心の擦れ違いを縦軸に、鉱物の取引を横軸に話が進められるのです。
ロレンスの恋愛弱者みたいな愚直っぷりと、商人としての頼もしさ、作戦を立て/知識を駆使し/相手を追い詰める、その様はなかなか手に汗握るものがあります。
それと前半での祭りの雰囲気が素晴らしいです。ホロが楽しそうなものを見てワクワクしてるのはとても心が浮き立つし、一緒に祭の熱狂に参加してしまうのもグッとくるシーンですね。
【お勧め】★★★☆☆(3.5点、面白かったです!)

夢日記を書きます

会社の同僚と川崎辺りから東京駅を電車で目指す。僕は寝てしまい、目が覚めると同僚の姿は無かった。とりあえず降りた駅は夕焼けに染まり、乗降客も不機嫌そうに行き来している。ここが何処だか僕には分からない。大分乗り過ごしたのかも知れない。

構内は工事中で、僕は人波にもまれながら、帰りの電車を探す。僕は青い電車を探すが、オレンジの電車と緑の電車しか来ない。

何度もプラットフォームを往来し、階段を上り下りする。その間、チラチラと青い電車を見かけたような気がして、そのプラットフォームへ急ぐが、電車は見つからない。
僕は諦めて駅の改札を出る。駅は外から見ると非常に貧相で、駅員は居ないようだ。あんなにお客がいたのが信じられない位に。

僕は駅前をとぼとぼと、しかし迷わずに歩く。線路沿いの道を曲がると、二つの建物が見えてくる。ひとつは在来仏教の大きなお寺、もう一つは新興仏教の金で飾られた悪趣味なお寺。二つとも人の気配はなく、静かに佇んでいる。僕は4階建はありそうなそれらの建物を見て、ため息を漏らす。

その時、僕の頭に「帰らなくては!」との思いが湧き上がる。でも帰りの電車が無いのにどうやって?その時、ひとつの思いが頭の中に広がった。
僕は"そもそも間違った電車"に乗ってここまで来てしまったんだ!だってここはどこなんだ?帰らなきゃ!学校に課題が出せないよ!

僕はあわてて駅へと戻りながら、線路に目をやる。オレンジの電車が僕を追い越していく、まずい、次の電車まで時間がかかるかも知れない。とにかく急がなきゃ。他の電車も線路に止まっているが、僕は目もくれず、オレンジの電車に乗ろうと駅を目指す。もう迷わない。

駅に着くのとオレンジの電車が駅に滑り込んでくるのは同時だった。僕はこれが上りか下りか分からないまま飛び乗る。どうしよう、上下線を間違ったらまた遠くに行ってしまう。
一度電車を降り、チラリと行き先表示を見る。漢字が読めない、僕の知らない地名だ。これじゃ上下が分からない。とにかく僕は電車に乗る。
電車が発車する。僕は線路図を落ち着いて眺める。ああ、よかった小さく「上野」の文字がある、この電車は東京に行くんだ。

しかし、とにかくここは何処だ?路線図を良く眺めると、この路線は川崎のあたりから始まり、上野、浅草を経て、伊勢崎、高崎、八王子、相模、この先は地名が分からないが、三浦半島の途中まで行く長い線路だったのだ。今の場所は三浦半島の手前、地名は下馬、上馬と書いてあった。
学校は9時に始まるのに今は8時、八王子から中央線に乗り換えるとしても、学校に間に合うかは微妙だ。間に合わない場合は友人に電話をしようと、携帯を握りしめる。

僕は東京あたりで降りるはずが、こんな所まで来てしまったのか、と思うと同時にトイレを催す。
一番手近なトイレは先客が居るため、電車の先頭車両を目指す。電車の中は妙に広く、そして暗い。

僕はトイレを見つけ、中に入ると、目を覚ました。

四川大地震に思う事、他

今日は用事があってある大きな駅で降りたのですが、地震義援金(募金?)をやっていました。街頭に立っていたのは、中国からの留学生と発音でわかる団体。あのよく通る独特の声は50m離れてもわかるのですが、まぁそこは関係なく。
なんだかあの一団を見て僕は…正直に言えばとても嫌な気持ちになってしまったのです。今日の僕は会社で義援金の募集があって、僕も500円程募金をしたのですが、その帰りに見た光景がなんだか嫌な気持ちになってしまい、そのあと色々考えてしまったのです。

なんで嫌な気持になったのかと言うと、2つ理由があって、他人の国に来て募金活動をすると言う考え方が、よく分からなかったのが一つ。例えば僕が外国に留学した際に、日本で地震が起きたら募金活動をするだろうか?いや、しないだろうなと思ったし、誰かが彼らにそれを入れ知恵したのかもな、と思うのも嫌な気持ちになる理由です。あと、僕は日本を「あなた方から助けを請われるような国ではない。その様な事をしなくても僕らは助けるのがあるべき姿だ」と思ったのかも知れません。中国の人が街頭で声を上げないと義援金すら集まらない日本の姿。僕は募金活動を通じてこれを見たのかも知れない。勿論、そんな事は無いのでしょうけど。
なんだか弱者から「あなた達は非道な人たちだ」と言われて居るような据わりの悪い気持を感じたのでした。

もう一つは、あんまり口にはしたくないのですが、長野での聖火リレーの件です。僕はあの件については詳しく語る知識は無いのですが、きっと聖火の周りを中国国旗で赤く染めたのは、彼らのような留学生なんだろうな、と思いました。自らの国の正しさを寸分も疑わず、チベットも台湾へもゴリ押しとしか思えないやり方を通して、それの不合理さに気が付けない国民。今の中国は僕にはそう映るのです。
西側の苦言には内政干渉だと突っぱねながら、漢民族に都合のいいように民族浄化を図る国。そして地震で苦境に陥るや、他国で平気で手を差し伸べろと声を張り上げる国民。
恥、と言う言葉はあまりに日本的ではあると思いますが、自らのスタンスを省みる事はあっても良いはずです。
もちろん、そこにいた留学生たちがそんなステロな連中だと言いたい訳ではありません。僕が2時間後に同じ場所を通った時、行きと変わらない男の子が声を上げていました。これは僕にはできません。自分が出来る事を本当に考えた末での募金活動なんだと思います。それはとても尊いものだと、僕は思います。

しかし、その声が大きければ大きいほど、僕は考え込んでしまうのです。

また、そうやって考え込むと、これは国民性の違いでもあるのだろうな、と思いました。どのような形であっても、溢れんばかりのバイタリティーで我が道を生ける国家。これが彼らのやり方だ、と言われるとこりゃ外交も一筋縄でいく訳がないな、と。

そこでふと思い出した会話がありました。父親との会話です。

先日、実家に帰った際に父親と話をする機会がありました。たまたまニュースかなんかを種にしたのだと思いますが、僕が「日本は国際的に浮いている気がする、それは戦争の歴史をぐずぐずと自省できずに来てしまったからではないか」と言うような、受け売りめいたことを父親に言うと「世の中にはそんな国があってもいいと思うが、どうか?」と切り返されたのでした。

その時は「何を甘い事を」と思ったんのですが、今日の出来事を見て、僕は父親の言いたいことが何となくわかった気がします。

恐らく父親は、日本が外交的に主役になれないのは戦後処理がどうこうではなく、国民性として真摯な振り返りができない国家、国民だ、と言いたかったのかも知れません。それを受け入れた上で進み方を考えなくては、と言う意味です。

僕は色々、見聞を広げたつもりでしたが、まだまだ父親と同じ地平には辿り着いてないのだな、と。

ちなみに街頭募金はしなかった。僕が出せる善意を換金すると500円が限度です。

狼と香辛料(2):支倉凍砂

狼と香辛料 (2) (電撃文庫)
面白すぎて(そしてホロが可愛すぎて)ついつい続きを素早く買ってしまいそうになりつつも、なんだか読み切ってしまうのが勿体無くて、ちょっと嬉しぃ葛藤を繰り広げている(僕が)狼と香辛料の2巻です。
今回はホロのナイスアシストをぶち壊しにするロレンスのヘタレっぷりが輝く導入で始まります。今回の話、個人的には苦手です。別に面白くないわけではない(まぁ若干盛り上がりに欠けるけど)のですが、ロレンスが追い詰められた時の描写がなんだか真に迫りすぎると言うか、他人事じゃないというか(笑)
別に僕は借金まみれじゃないけどね。
ちょっと惜しいなぁと思ったのは、ノーラと言う羊飼いの子が割と重要な役割(ストーリー的にも萌え的にも、笑)を果たすのですが、ちょっと描写が甘く感じました。色々と背景のある子なので、もっともっと魅力的に描けるハズだと思うのですがね。ま、その分、ホロとロレンスの2828っぷりは良い感じなのですけど。
あと、今回は密輸の話と言う事もあって、お金方面の匂いはあんまりしませんでした(1巻に比べれば、ですけど)。要するに、ロレンスは商人でなくてもこのライトノベルは面白いのですね。
【お勧め】★★☆☆☆(基本的にこの星は厳しめ)