2006-12-08から1日間の記事一覧

アンダーグラウンド:村上春樹

僕は村上春樹の活動の全てを知っている訳ではないのですが、割と珍しい地下鉄サリン被害者のインタビュー集です。それも扇情的なマスコミ視点を極力排し、淡々と進む日常から事件に巻き込まれた(と言っても当時は本人にその意識は無い事が多かった)人々の…

本当の戦争の話をしよう:ティム・オブライエン(訳:村上春樹)

これは戦争小説の形を借りた青春小説、またはシニカルな近代民話です。この本の中で自分が感じた事を大げさに表現する兵士の話があり、これは非常に共感したと言うか、勿論嘘のように事実を歪める事は褒められた事ではないです。しかし、人間が言葉を使用し…

アメンボ号の冒険:椎名誠

僕も少年時代は親戚の家の周りに残った田んぼや小川で好き放題遊び回っていましたから、こう言う少年らしいわくわく感には素直に感化されてしまいます。度々椎名誠の筆で語られてきた幸せな少年時代がまるで目の前に蘇ったように生き生きと描かれています。…

辺境・近境 写真編:松村映三plus村上春樹

村上春樹と一緒に歩いた道のりを写真にまとめた本です。勿論、写真家さんもそれなりの人なので写真自体からいろんな気持ちや情景が伝わってきます。この写真家さんは悲しみを淡々と薄めたような雰囲気を移すのが得意なんでしょうか。 メキシコを旅した時の写…

裁判長!ここは懲役4年でどうすか:北尾トロ

流行の本っぽいですけど、面白そうだったので購入。いつもそうですけど、一般的ではないコミュニティの中に入って行く話と言うのは、それがマイノリティである程面白く感じますよね。そんな訳で裁判傍聴日記です。基本的なスタンスは好奇心丸出しな訳で、読…

海ちゃん、おはよう:椎名誠

解説の人も書いていたけど、僕も椎名誠の子供は岳くんだけだと思っていました。岳物語は文学的にも評価が高いみたいだし、勿論個人的にも好きなんですけど、こっちの本も中々捨てがたいです。子供を授かり、人の親として周りからも自らの中からも目覚めて行…

僕は八路軍の少年兵だった:山口盈文

太平洋戦争が終わった時、満蒙開拓青少年義勇兵だった作者は、死にものぐるいで祖国を目指すが、思わぬ事から八路軍の兵士となっていた。終戦後の満州の話と言えば、混乱の極みに有った祖国引き揚げか、ソ連の強制収容所か、と言った所でしたけど、ちょっと…