2007-02-17から1日間の記事一覧

マルドゥック・ヴェロシティ:冲方丁

マルドゥック・スクランブルに続く、ハードなSFです。今、日本人の手によるSFとしては最高なんじゃないの?見たいな気もしますが、SFの重要な「センス・オブ・ワンダー」はちょっと弱いかな(取り立てて目新しいギミックも無く、ハードボイルドなジョジョと…

虞美人草:夏目漱石

さすが100年前の本だけ有って、読みにくい事甚だしいです。登場人物もみんな似たようで見分けがつきにくいし、そもそも中に出てくる言葉も良く理解出来なかったり(巻末の辞典が無かったら読めなかったと思う)。でもそれらを乗り越えて読むと、これは青春群…

昭和戦後史の死角:保坂正康

保坂正康による現在と昭和史を結んだエッセイと言って良いでしょうか。エッセイと言うには重みと実感がありますが、それほど深くはない、幾つかの読み物をまとめた本です。特に心に残ったのは「特攻作戦に反対した海軍軍人」と言う項です。次第に敗戦の色が…

天皇が十九人いた:保坂正康

戦後の混乱期に起きた、今ではちょっと考えられない様な事件(自称天皇の出現)や、戦争に強い因縁を感じさせる何人かの人間を取材し、戦争と日本人を考えてみよう、と言った本です。本は幾つかの話が独立して収められていますので、実際には軽く読める(だ…

草の海:椎名誠

[rakuten:book:10522807:image] 椎名誠がモンゴル奥地を旅した記録です。本の背表紙には「白い馬」の原作だと書いてあるんですが、ちょっと良く解りません。本には写真が沢山収められていて、美しい空や躍動感に満ちた人や馬の活動を見る事が出来ます。モン…

栗林忠道:柘植久慶

最近、映画にもなりましたし(硫黄島からの手紙)、沖縄戦の話は知ってても硫黄島の話は良く知らなかったので、読んでみました。 この本自体、事実に沿った小説の体裁を取っていますし、一部将校への反発心が露骨に現れているので、史実を知りたいと言う観点…

遠い太鼓:村上春樹

村上春樹がヨーロッパで暮らしていた期間の日記をまとめた本です。エッセイの原型の様な、小説を書く際に切り落とした感情が散らばっている様な、悪く言えば目標の無い、良く言えばそれだけ彼の実感に誓い文章が散らばっています。 旅行の記録と違って、これ…

日曜日の夕刊:重松清

日常になじむ、家族の話を集めた本です。重松清の本はこう言った普通の人々の心情をドロドロしすぎない程度に描き出すのがとても上手いと思います。誰もが少年時代や、大人になってから感じる普遍的な感情を、ほんの少しだけ鮮やかに色付けして、再体験させ…